oil gas

石油・ガス

現代のリーダーにとりエネルギーは最重要課題です。長期化する石油の低価格、資源へのアクセス、石油ナショナリズムの高まり、供給上の脅威、電力市場およびガス市場の問題、発電における石炭の再評価、地球温暖化および再生可能エネルギーの課題、原子力の再興など、多くの不安が存在します。 

石油やガスから公益事業まで、エネルギー産業では前例のない変化が起きています。蒸気機関の出現により世界のエネルギー源が木から石炭に移行した時の変化、そして前世紀初めに公益事業の集権化と自動車産業の出現により石炭から石油へと移行した時に起きた変化と同様の変化です。今日、それは炭化水素から、代替エネルギー源や再生可能エネルギー源へと移行しています。変化は人々の目には緩やかに見えますが、それは今世紀中に完了する可能性があるのです。

石油産業における2つの主要セクターである上流と下流は、長い間石油価格および燃料需要の変遷に適応してきました。石油価格が低水準で推移し、技術の加速傾向がある今、両セクターは新しい構造的課題に直面しています: 

石油価格の低迷は上流の石油・ガス企業(特に国際石油企業)に起きている構造的変化を推進する可能性があります。

石油・ガス業界の経営状態はずっと石油・ガスの価格によって決まってきており、大幅な価格変動は多くの場合各セクターにおける著しい構造的変化へとつながってきました。1986年の価格下落の後、WTI原油価格は20年近くにわたり低いままで、2015年には1バレル30ドル~40ドルほどでした。

この低価格環境は各種プロジェクト延期の波を後押ししただけでなく、国際石油企業の間で一連の統合を引き起こし、その中でArco、Amoco、Mobil、Fina、Texaco、そしてPhillipsは姿を消しました。

ここ10年で石油・ガス価格は大きく上昇したため、深海や遠隔地のような技術的に難しい場所を中心に、石油やガスの採掘が急速に進みました。また、多くの新興小規模企業が非従来型化石燃料の提供を試み、価格設定において大きな影響力を持ち始めています。

 

石油価格がまた1バレル40ドル前後まで戻り、何年とまではいかなくても何ヵ月かはその価格が維持される見通しが高まっている今、次の数年間はどのような構造的トレンドが新たに本業界を席巻するのかを検討するべきでしょう。
一例として、国際石油企業(「メジャー」または「IOC」)は継続的な石油ガス生産が厳しくなってきているという問題に直面しています。多くの大手の国営石油会社(「NOC」)にとっては、これは大きな問題ではありません。
 

NOCは、現在、世界の石油生産の58%超を管理しているだけでなく、世界の石油埋蔵量の90%という莫大な油田を管理しており、その多くは比較的、低リスク及び低コストで生産可能な既設油田に位置付けられます。

一部のNOCはまだ外部からの支援に大きく依存していますが、多くのNOCは高い技術を持ち、IOCのサポートや関与がなくとも自らの資源にアクセスできるようになってきています。

 
こうした高い能力を持つNOCは、必要なあらゆる技術をどんどん手に入れています。彼らはR&D予算を急速に拡大し、IOCの仲介を必要とすることなく石油サービス会社と直接、これまで以上に緊密な関係を築いています。


こうした発展したNOCは、より有用なスキルや能力を持つ社員を獲得しており、多くの場合IOCとの協働はまったく必要としていません。さらに今や、多くのNOCは、自らの資源を開発するために必要な資金を国際資本市場から調達することができます。
 

反面IOCは、近年シェールオイルおよびシェールガスの台頭により厳しい状況にあります。それらの大部分は、敏捷な運営と低コスト構造を持つ、比較的小さく独立した米国の石油・ガス会社によって生産されています。

こうした会社により産業の様相が変わり、IOCは努力はしているものの多くの変化に追いつけていません。その結果、特に現在の比較的石油価格が低い環境と不安定な市況において、従来のIOCが経済的に継続可能な資源を今後も入手し続けることはますます厳しくなってきています。

 

こうしたことからIOCが陥っている戦略的ジレンマは深まっています。IOCにとって可能な未来の必勝戦略とは何でしょうか。

どの方向が妥当で、どうすれば成長を追求または収益を維持することができるのでしょうか。

IOCの一部、場合によってはすべてがビジネスモデルを見直す必要があるのでしょうか。

どのような提携または協調が適しているのでしょうか。

モビリティに対するエネルギー供給が変化している下流セクター、新しいビジネスモデルは不可欠

石油の下流セクターは競争の激化と厳しい規制に適応してきましたが、上流セクターよりも低い利益に苦しんでいます。

下流セクターは次のような数多くの課題に直面しています:地域容量のミスマッチ、マージンの変動および市場硬直性、原料品質の悪化と厳しさを増す製品規格、資本投資要件の増加、脆弱または発展の見込みのない精製業者、燃料流通における利益率の低下、そして厳しい小売経済です。

モビリティのための新しいエネルギー源が燃料バリューチェーン全体に影響を及ぼすにつれ、下流市場参加者はモビリティ市場における自分たちのシェアを守るためには革新が必要となります。この厳しいビジネス状況を踏まえると、石油下流市場参加者が生き残るためには、戦略の実行に秀でるだけでなく、ビジネスモデルの革新や変革もせざるを得ないでしょう。